コラムCOLUMN
湿疹や痒みなどで、塗り薬や飲み薬を使ってずっと治療を続けているけれど、落ち着いたりまた悪くなったりの繰り返しで、なかなか治らないという相談をよく受けます。
こうした場合、今あらわれている症状をしっかりと抑えていくことと並行して、その症状が起きている原因を、改めてきちんと考察していくことが重要な課題となります。
原因の究明は当然のことだと思われがちですが、繰り返す皮膚疾患の原因は、わりと複雑で多岐にわたっていて、はっきり判明しないまま治療を続けているケースも多々あります。
もし短期的な症状の原因が、接触性の「外的要因」や、食べた物による「内的要因」など、すぐに判明して対処をしていたとしても、思うように改善が見られないのであれば、さらにその長びく原因をひも解いていかなければなりません。
標治と本治
東洋医学や漢方の治療の考えの中に、「標治」と「本治」という言葉があります。
「標治」とは、いま表面にあらわれている辛い症状に対して治療を行うことを指しており、「本治」とは、その症状の根本的な原因に対して改善や治療を行うことを指しています。
「標治」は〝対症療法″、そして「本治」は〝根本療法″のようなイメージで捉えて頂けると分かりやすいかと思います。
なかなか治らない皮膚疾患等の症状においても、このような、今いちばん辛い症状に対する「標治」と、症状の原因をきちんと捉えその治療に取り組む「本治」の、同時進行がとても大切なのではと考えます。
本治へのアプローチのために
接触性や脂漏性、菌やカビ等々、皮膚疾患の原因が分かっている範囲に、薬で対処を講じているにもかかわらず、症状が長びいたり繰り返してしまう場合には、すでに周知の事ばかりかもしれませんが、以下のような部分をチェックしてみるのも、「本治」(いわゆる根本療法)への手掛かりとなるかもしれません。
◆『ストレスを抱えていたり、睡眠不足があったりしないか』
ストレスが続くと、自律神経の乱れや免疫の低下を起こして、皮膚炎や痒みを増長させてしまうことがあります。
さらにストレスは脳内の痒みを感じる神経を刺激したり、皮膚の赤みや痒みの原因となる〝ヒスタミン″という物質の放出を増やすとも言われています。
また睡眠不足は、体を潤している水分を減少させてしまうため、熱を生みやすく、皮膚炎を長びかせたり、肌のバリア機能を低下させる原因にもなります。
◆『やや偏った、不摂生な食生活になっていないか』
よく脂っこいものや辛いものなどの刺激物ばかりを食べていると、血が熱を持ちはじめて、皮膚病が悪化して治りにくくなってしまいます。長びく症状の根底には、普段からの偏った食事や過食などが関与している事例が多く見受けられます。
甘いものやナッツ類を食べ過ぎると、すぐに吹き出物が出来る人がいることからも分かるように、食べ物は皮膚の状態に大きな影響を与えます。
◆『内臓のどこかに不調を感じていないか(疾患がないか)』
〝皮膚は内臓の鏡″という言葉があるように、内臓のどこかに疲労が生じていたり、弱っている状態が続くと、すぐに皮膚に反映されてきます。
特に胃や消化器系などが弱ると、代謝機能が低下して、体に熱がこもって皮膚まで上昇して赤みや痒みを生じたり、さらに肺や心臓が弱っていると、皮膚に必要な水分や栄養が届かず乾燥がひどくなったりします。
因みに、西洋医学の分野では、内臓疾患によりあらわれる皮膚の病変を〝デルマドローム″と呼んでいて、皮膚の状態の変化を見ながら、いち早い内臓の病気の察知につなげています。
◆『もうずいぶん長い期間、同じ薬を塗り続けて症状に対処していないか』
毎日ずっと薬を塗り続けているけれど、最近なかなか湿疹が治まらないと感じている人は、ステロイド等の長期連用による副作用で皮膚が薄くなり、赤みや痒みを引き起こしている可能性があります。
体の状態の変化や治療の進行状況に合わせ、薬の量や種類も変えていくことが大事です。
再度、病院の先生や薬局に、現状をしっかりと伝えて指導を仰ぎ、上手な処方薬の使い方のアドバイスを頂いて下さい。
◆『入浴やシャワーの際は、患部をしっかり洗い、上がったらすぐに薬を塗っていないか』
患部を清潔にするのは悪くないのですが、しっかり洗ったり、擦り過ぎたりしていることで、治ろうとしている皮膚に過度な刺激を与えていたり、皮膚のバリア機能を保つのに必要な皮脂膜までも、洗い落としてしまっていることがあります。
それから体がきれいなうちにと、風呂上りすぐに薬を塗る方も多いようですが、炎症がある皮膚がさらに温まり過敏になっていることも考えられるので、少しだけ時間をおいて、体温が落ち着いてから塗るように心掛けるだけでも、薬の効果が変わってくるかもしれません。
季節や土地柄や体質の考慮と生活習慣の見直し
上記のような、様々な皮膚疾患の引き金となる項目の検証に加えて、東洋医学や漢方では、さらに季節や時期、住んでいる土地の気候や生活環境、年齢や体質などが症状の原因に関与していることを考慮しながら、薬の選定や治療を行っていきます。(これは「三因制宜」という治療の法則です)
こうした季節や生活環境や体質の違いを、しっかりと念頭に置きながら治療を続け、ひとつずつでも生活習慣の見直しや改善を行っていくことが、繰り返す湿疹や痒みの軽減や、難治の皮膚疾患などの原因の究明につながっていくのではないかと考えております。
★カウンセリングについて★
気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。
あなたのこれからの過ごし方が変わってくるかもしれません。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川
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