コラムCOLUMN
11月に入って急激に気温が下がり出し、かなり肌寒くなってきたことで、出かける時には体温を調節するための服装にも、何かと気を配る日々になりましたね。
今がいちばん昼夜の温度差で、風邪など引かないように気をつけなければならない時でもありますし、寒さと乾燥の影響による「呼吸器系」の各器官の疾患、いわゆる「肺系統」の疾患に対しても留意しながら過ごさなければならない時期でもあります。
漢方的な肺系統の考え方
東洋医学の考えでは、この肺系統の全ての器官を、五臓六腑の五臓(肝・心・脾・肺・腎)の中の、「肺」という言葉の概念で捉えていきます。
現代医学で使われる内臓の一部としての考え方とは異なり、東洋医学における「肺」の概念には、肺という臓器のみならず、そこに通じている鼻やのどや気管などの呼吸器系、そして、皮膚呼吸や発汗や体温調節を行う皮膚や皮毛なども含まれています。「肺」は呼吸によって、大気中の新鮮な空気の中から酸素(いわゆる清気)を取り込んで、汚れた二酸化炭素(いわゆる濁気)を排出します。
またその際に「肺」は、呼吸を通して外気と接するため、菌やウイルスなどの病原に侵されやすい状態にあります。さらに加えて、「肺」は乾燥や寒さにも弱く敏感なため、秋から冬にかけてのこの時期には、特に外気からの影響を受けやすくなるので、日頃から十分に注意が必要です。
増えてくる症状と対策としての漢方
その他にも「肺」には、人間が活動をする上で必要なエネルギーや水分を全身に散布して、体表で病邪をガードしたり、皮膚を通して発汗や体温調節にかかわったり、体の中を巡って代謝された水分を「腎」に輸送して尿として排出する機能があるとされています。
こちらに関する詳しい解説等は、今回は割愛させて頂いて、ここではこの季節に増えてくる呼吸器系の症状と、対策としての漢方薬について、以下にいくつかあげてみたいと思います。
◆『急性気管支炎・喘息(ぜんそく)』
「急性気管支炎」は、風邪などによる上気道へのウイルスや細菌の付着が、気管、さらには気管支へと波及して炎症が起きた状態で、激しい咳や痰、発熱などを伴います。病院では抗生物質や鎮咳・去痰薬等の使用を中心に治療が行われます。
「喘息」は、前回のコラムの秋に多いアレルギーのところでも少し触れさせて頂いたように、主にハウスダストやカビ、花粉、PM2.5などのアレルギーを起こす物質がきっかけとなり、気道が慢性的な炎症を繰り返し狭くなった状態で、咳や痰に加え、息苦しさを伴います。厳密には、ほぼ咳のみの咳喘息と、さらに症状が進行したことでヒューヒューやゼーゼーといった喘鳴が起こる(気管支)喘息や、アトピー型と非アトピー型などにも分類されます。
また喘息の発作は、疲労やストレスによる自律神経の乱れや、寒暖差や気圧の変化などにもかなりの頻度で影響を受けて発症します。そのため、交感神経が優位になり気管が開きやすい高気圧の時と、副交感神経が優位になり気管が収縮しやすい低気圧の時が、頻繁に入れ替わってしまう秋の季節は、一年のうちで、最も喘息の症状が起こりやすく、悪化しやすい時期だといわれています。病院では強い抗炎症作用をもつステロイド剤や気管支拡張薬を中心に治療が行われます。
漢方薬による早期の治療や、慢性化の軽減などで、よく用いられる代表的な処方としては、
「気管支炎」および「喘息」の、どちらの場合においても、
・体が冷えると薄い痰や鼻水を伴い、喘鳴が出るタイプは「小青竜湯」「苓甘姜味辛夏仁湯」
・黄色く粘っこい痰が出て口渇があり、夜に布団で温まると咳き込む人には「五虎湯」
・気道が炎症で腫れて狭くなり、激しい咳が出て、喉が痛む人には「麻杏甘石湯」「銀翹散」
・ストレスなどで喘息の発作が起こりやすく、痰が出やすいタイプは「神秘湯」「柴朴湯」
・乾燥により乾いた咳が長く続き、痰が切れにくいタイプには「麦門冬湯」「滋陰降火湯」
といった漢方薬などが、それぞれの症状や特徴に応じて、その一部としてあげられます。
◆『血管運動性鼻炎・急性副鼻腔炎』
今現在、風邪を引いているわけでもないし、花粉症でもないのに、なぜかくしゃみや鼻水が止まらない症状があれば、秋の激しい気温差による「血管運動性鼻炎」の可能性があります。「血管運動性鼻炎」が起こるメカニズムは、まだはっきりと解明されていない点も多いのですが、急激な寒暖差で自律神経のバランスが崩れ、気道を守るために粘膜を増やそうとする体の防御システムが、過度に反応してしまうことが原因ではないかと考えられています。
アレルギーとなる物質が存在せず、目のかゆみなどが起こらないのが、この症状の特徴です。さらにこの症状が、繰り返し起こって長引いてしまうと、鼻水やうみがたまりやすくなり、頑固な鼻づまりや臭覚の低下を招く、「急性副鼻腔炎」へと進んでしまう恐れがあります。
「急性副鼻腔炎」は、鼻の周囲や奥にある空洞(副鼻腔)の粘膜に、細菌などが繁殖して急激に炎症が起こり、鼻水・鼻づまり・頭重感などの症状があらわれてくる病気です。
症状が長引いてやや慢性化してくると、鼻づまりがひどくなり、頭痛や顔に痛みや圧迫感を感じたり、鼻汁が喉の奥に垂れ落ちてくる〝後鼻漏″が起こりだします。副鼻腔のところに膿が蓄積することから、別名を「蓄膿症」とも呼ばれています。
「血管運動性鼻炎」の治療や緩和に用いる代表的な漢方薬としては、くしゃみや鼻水などがその症状の中心であること、また、冷えが起因になっているところにも着目して「小青竜湯」「麻黄附子細辛湯」「葛根湯加川芎辛夷」といったものがよく処方されています。
そして「急性副鼻腔炎」に対処する漢方薬としては、副鼻腔の強い炎症による熱感や乾燥感、頑固な鼻づまりによる頭重感、鼻汁が喉に流れてくる後鼻漏、溜まった膿による鼻や顔面のまわりの痛みや圧迫感など、その人それぞれの中心となる症状をしっかりと見極めながら、「荊芥連翹湯」「辛夷清肺湯」「排膿散及湯」などを使い分けて処方します。
◆『夜中に急に咳が出て目が覚める』
この時期に、眠るまでは何ともなかったのに、夜中に突然、咳が出て目が覚めてしまう人は、一緒に熱や鼻水などの症状を感じることがなければ、急な冷え込みによる気道への刺激や空気の乾燥が、この咳の原因だと考えられます。特に、日頃から口呼吸の傾向にあったり、寝ている間に喉の渇きや口の乾きを感じて何度か目を覚ましてしまう人などは、その可能性がさらに高くなります。
その際には、一例として、喉や体を滋潤しながら咳を止める「麦門冬湯」と、抗ウイルス・抗炎症作用に止渇・潤肺・去痰の効果をプラスした「羅漢果の入ったの板藍根」などを一緒に服用してみるのもよいかと思います。意外とすんなり咳も治まって、喉や口にも過敏に乾燥を感じなくなり落ち着いてきます。
普段からよく、少し大きな声で話をしたり、大きな声で笑ったり、長くしゃべったりすると咳が出てしまう人は、のどや気道が空気の出入りにかなり敏感になっています。昼間と夜に大きな寒暖差を感じたり、空気の乾燥を感じはじめたら、こまめな服装の調節や、加湿グッズ、漢方薬などの活用で早めの対策を心掛けましょう。
★カウンセリングについて★
気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川
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