コラムCOLUMN
スぺシャリストである病院薬剤師、ジェネラリストである薬局薬剤師
皆さん、ドラマの『アンサング・シンデレラ』見ていますか?
薬剤師にスポットを当てているため、「現実と乖離している。」「ドクターとバチバチやりすぎ。」「自信を持っていて、尚且つ知識が豊富ですごい。」等の意見を聞きましたが、薬剤師を取り上げたドラマは今まであまり?なかったので、皆さんに薬剤師が一体どんな仕事をしているのかを知っていただける良い機会になればと、かなり期待しています。
TVドラマでは主人公葵みどりの「病院」薬剤師としての活躍が描かれていますが、病院勤務経験のない私としても興味深く視聴させていただいています。
調剤薬局と病院薬局の違いを調べた所、病院も薬局も基本的には調剤業務や服薬指導、疑義照会でバタバタ忙しいのは同じなのですが、病院薬剤師は薬局薬剤師と比べて、より専門的で、急性期の患者が主な対象で、常に院内の医療従事者との連携が求められ、治験や救命救急等にも対応する事が求められる場です。病院薬剤師は高度で専門的な薬学治療のスペシャリスト(専門職)なのです。
これに対して調剤薬局の薬剤師は幅広い知識を持ったジェネラリスト(総合職)として地域の医療に貢献するものです。
病院薬局と大きく異なる点
病院薬局と大きく異なる点は
1.健康サポート機能、2.セルフメディケーション、3.在宅医療、この3点だと私は考えます。
1.薬局の健康サポート機能とは、地域住民の健康維持増進に向けてのサポートする機能のことです。地域の方々の健康や生活に関わる相談を受ける事で細やかなアドバイスを行い、場合によっては受診勧奨をする事で早期発見、早期治療に寄与する事が出来ます。
例えば、次に挙げるような地域活動も健康サポート活動の一環となります。先日、地域の公民館で地域の方々を対象に健康に関する介護予防の講演会をさせて頂きました。そして後日、講演会に出席された方々が自身やご家族のご相談のために薬局に足を運んで頂くことがありました。
2.セルフメディケーションとは人々が自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることです。薬剤師がサポートを行う事で適切な市販薬等の選択が出来ます。
相談を受け、炎症に対する塗り薬や胃腸薬、風邪薬などを一緒に選ぶ事も結構頻繁にあり、案内する際は安心して使用して頂ける様に心がけてご対応しています。
3.在宅医療とは自身で通院する事が出来なくなった在宅患者に対して居住先での効率的な薬剤提供と管理を行う事であり、超高齢社会を迎えた日本において、今後ますます必要性が増大すると予想されます。
患者さんの為に
アンサング・シンデレラの第2話を見ていた際に、主人公が持ち場を離れて患者宅まで原因薬剤の手がかりを探しに行くシーンがありました。「いやいや、それはやり過ぎでしょ笑」と思わず声が出ましたが、冷静に考えたら私自身も業務中に店舗を離れ、介護保険(在宅)サービスに繋げるために患者さんやご家族を連れて地域包括支援センター(※1)に相談に向かった事があったのを思い出しました。
アンサング(Unsung)の意味は称賛されない、称えられないという意味であり、医療の裏を支える縁の下の力持ち的な存在として設定されている様ですが、実際のところ、薬剤師業務をするにあたって感謝頂く場面は意外と多く、それが私自身のやりがいにもなっています。薬剤師の責務は患者様や地域の方々の健康維持増進でありますが、やはり感謝されると嬉しいものです。
TVドラマでは面白くするために多少の脚色もありますが、石原さとみさんの演じる主人公の葵みどりはとことん「患者さんの為に」を貫く熱血薬剤師です。清々しいまでにブレない芯の強さには正直憧れます。
私は調剤薬局の経験しかありませんので病院薬剤師の業務は分からない部分がほとんどですが、「薬は患者の今後の生活につながるからこそ、その人自身を知る必要がある。それが、薬剤師にとって何より大切だ」という葵みどりの信念は病院も調剤薬局も関係なく、私達薬剤師が学ぶ事は多いと思います。
※1地域包括支援センター: 市町村が設置主体となり、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉 の増進を包括的に支援することを目的とする施設で、いわば、生活に助けが必要になった方々に対しての支援や援助を開始するための入り口となる施設となります。
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