コラムCOLUMN

2023.1.18便秘薬の使い分け方と選び方

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

0

4

便秘薬の使い分け方と選び方


便秘薬を色々悩んで選んだにもかかわらず、いざ飲んでみると、全然スッキリしなかったり、逆に効果が強すぎたのか、お腹が痛くなってしまった経験はありませんか?

日々店頭で相談を受けていると、数ある便秘薬の中から、今の自分の状態に合った薬がどれなのか、あまりよく分からないままに、自分自身の体感だけをたよりに、探りながら服用を続けている方が、かなり多いように思われます。





便秘の定義


そもそも「便秘」とは、便が排出しにくい、排便回数が少ない、残便感があるなどの状態を言い表した総称で、一般的には3日以上排便がない時などに、よく使われる言葉です。

しかしながら、排便の習慣や感覚には個人差が大きいため、「便秘」には明確な定義づけが存在しません。

たとえ2~3日に1回でも、残便感もなく、スムーズにすっきり便が出れば便秘とは言えず、毎日お通じがあっても、残便感があり、常にいきむようであれば便秘であると考えられます。






便秘の種類


便秘の種類は、大きく分けて「機能性」によるものと「器質性」によるものが考えられます。

最近では医療上、様々な新しい分類もなされていますが、主に、便秘の種類を4つに分けた

・腸の働きが乱れて起こる「機能性便秘
・腫瘍や炎症、閉塞などで腸が狭くなり、便が滞って起こる「器質性便秘
・体の病気に伴うホルモン分泌や神経の異常が原因となり起こる「症候性便秘
・服用している薬の副作用により起こる「薬剤性便秘

といった捉え方が、以前からよく用いられてきました。

中でも、病気等による器質的なものを除けば、殆どの便秘が「機能性便秘」に該当します。






「機能性便秘」の分類と主な原因


そして、この最も多い「機能性便秘」には、さらに3つのケースが考察されます。

1.「弛緩性便秘
大腸を動かす筋肉がゆるんで腸の運動機能が低下し、便が長く大腸に滞ってしまい、肛門まで行き届かなかったり、硬くなって排便しづらくなったりして起こる便秘です。
運動不足や朝食をとらない等の不規則な食生活、あるいは、加齢による筋肉や機能の衰えなどが原因となって起こります。

2.「痙攣(けいれん)性便秘
腸の一部がけいれんを起こしてしまったことで、大腸の動きが不規則になり、便がうまく運ばれずに長く滞留して、やっと排便してもコロコロ便だったり、残便感が残る便秘です。
その他にも、食後の下腹部痛や、便秘と下痢を繰り返す症状がでる場合もあります。
大きな環境の変化やストレス、または、過敏性腸症候群等がきっかけとなって起こります。

3.「直腸性便秘
大腸から直腸に便が下りてきても、直腸の便意を催すセンサーが鈍っているために、排便反射が起こらないままそこに便が停滞して、なかなか排便ができない状態の便秘です。
いきめばいきむほど便が出せないという、つらい症状がよくみられます。
習慣的に便意を我慢する傾向があったり、お尻の洗浄水を奥までしっかり入れたりなど、排便に関わる神経の感度を鈍らせるような行為が、この便秘の原因と考えられています。

1.はやや硬い便、2.はコロコロ細い便、3.は太くて硬い便が出やすい傾向にあるようです。





便秘薬の種類とその特徴



次に「便秘薬」にはどんなタイプのものがあり、またそれにはどんな特徴があるかについて、以下に簡単にまとめてみたいと思います。

『(大腸)刺激性便秘薬』
腸管に直接刺激を与え、大腸の運動を活発化させて排便を促すタイプの便秘薬です。
即効性に優れており、とにかく、すぐにでもスッキリ出したいという方には適しており、夜飲んで、次の朝には排便の効果が期待できます。

ただし、腹痛を起こしやすく、常用すると習慣性や依存性が高く、薬が効かなくなる上に、反って便秘が治りにくくなるので、長期連用は不可で、痙攣性の便秘にも使えません。
主な薬の成分としては、ビサコジル、センノシド、ピコスルファートナトリウム、アロエ、センナ、ダイオウ(大黄)などがあります。

『膨張性便秘薬』
もともと便になったもの自体の量が少なく、便通が停滞している場合に、便に多量の水分を含ませ膨張させて、腸管を刺激することで排便を促すタイプの便秘薬です。

自然に近い形で排便を促し、くせになりにくいですがが、人によってはお腹が張るだけで、効果が出にくいこともあります。
主な薬の成分としては、プランタゴ・オバタ種子(または種皮末)、ポリカルボフィルCa、カルボキシメチルセルロース、寒天末などがよく使われています。

『塩類便秘薬』
腸内に水分を集めて増加させ、便を軟らかくして排便を促すタイプの便秘薬です。お腹も痛くなりにくく、痙攣性の便秘などにも適しています。十分な量のお水で服用することによりさらに効果を発揮します。

ただし、軽い便失禁や腎機能の低下を引き起こす可能性もあるため、長期連用や併用不可の薬については注意が必要です。
主な薬の成分は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどです。

『浸潤性便秘薬』
界面活性作用によって便の表面張力を低下させ、水分を引き込んで便を柔らかく、そして滑りやすくして、スムーズな排便を促すタイプの便秘薬です。

こちらも、上記の塩類便秘薬と同様に、お腹が痛くなりにくく、たっぷりのお水で飲むと効果的ですが、習慣性が低い分、効果もやや弱めで穏やかです。
主な薬の成分には、ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)などがあります。


その他にも、内服薬が飲めない時や、すぐに便を出したい時などには、お尻から直接入れて
炭酸ガスを発生させ、腸を刺激して便を出す「座薬」タイプ、あるいは直腸内にグリセリン液を注入し動きを活発にして、便も軟らかくしながら出す「浣腸」等の便秘薬もあります。



幅広く便秘に対応できる漢方薬


さらに、便秘になりやすい原因と、その体質自体の改善に効果的なのが「漢方薬」です。

様々な薬理作用を持ち合わせた複数の生薬の組み合わせが、いま起きている症状の緩和と、慢性化した便秘の改善の、双方に働きかけてくれます。
加えて習慣性がつきにくく、西洋薬にはない腸管血流の増加作用や、便秘と下痢を繰り返す症状に対応できることなども、漢方薬の大きな特徴のひとつです。





依存し過ぎず、症状に合ったものを上手に使う


便秘は慢性化すると、食欲不振や吐き気、めまい、イライラ、背中の痛みなどの様々な随伴症状を引き起こしてしまいます。

また、間違った便秘薬や、その場しのぎの便秘薬を、長期にわたって使い続けることにより、腸本来の機能や筋力の低下を招いてしまい、だんだん薬が効かなくなってきたり、より症状を悪化させてしまう人も少なくありません。

定期的に便秘の症状を繰り返す傾向がある人は、改めて、その生活習慣をもう一度見直して、不摂生の改善や日々の養生に努めていきましょう。
そしてその上で、便秘薬を服用する際には、決して依存し過ぎず、特徴や副作用をきちんと理解して、自分に合ったものを上手に使うように心掛けましょう。






★カウンセリングについて★


気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。
さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。

あなたのこれからの過ごし方が変わってくるかもしれません。

詳しくは下記の「漢方薬相談」の画面をタッチして、予約内容を一度のぞいてみて下さい。
(※ネット予約に限らず、お電話でも、気軽にご予約下さいませ! TEL 092-733-7231)
                  ⇓

福岡市中央区天神2丁目11-3 ソラリアステージビルM2F(中2階)
TEL 092-733-7231
(株) 大賀薬局ライフストリーム  漢方カウンセリング (担当) 梅川



いいね 4
0

コメント

記事についてコメントする

ニックネームとコメントを
入力してください。

ニックネームを入力してください。

コメントを入力してください。

コメントを投稿する
梅川 哲朗

ご相談は私までお声がけください!



梅川 哲朗 (登録販売者・九州中医薬研究会会員・国際中医臨床薬膳師)
所属店舗 ライフストリーム

ご相談の際は、店舗宛TEL092-733-7231までご連絡ください。
店舗の詳細はこちら



色んな症状を持ちながら診療では病気ではないと言われて悩むお客様方にお役に立ちたく、日々、中医薬診断の学びと実践に努めています。細かい症状などを伺って体質を判定し、お客様個々に合った漢方薬や市販薬の上手な活用法をご提案しております。お気軽にご相談下さいませ。

お問い合わせCONTACT