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2022.8.9【熱中症の予防と対策に。おすすめの漢方薬】

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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【熱中症の予防と対策に。おすすめの漢方薬】

夜は時々、涼しい風が吹く日も出てきましたが、日中は相変わらず、ジメッとした蒸し暑い日が続いていますね。
コロナに対しても勿論ですが、まだまだ「熱中症」にも十分に注意が必要な季節です。
「熱中症」は、これから少し気温が下がり出す、9月半ばの初秋の頃までが、いちばん油断しがちな時期だと言われています。

一般的な予防や対策に関しては、皆さんもすでに実践されている方が多いかと存じますが、ここでは、いくつかおすすめの漢方薬について、紹介をしてみたいと思います。
こまめに経口補水液などで水分の補給を行っているけれど、それだけでは不安という方は、ぜひ参考にされるとよいでしょう。





1.『五苓散(ごれいさん)』


体力の有る無しにかかわらず使える処方です。本来、血液中にあるべき水分が確保できずに必要のないところに水分が滞ってしまう、むくみやすい人などに効果的です。

熱中症予防で水分をとっていても、水滞・水毒になるばかりで、すぐに吐き気や頭痛、喉の渇きなどを起こしてしまう人に対し、五苓散は、必要な部分に必要な水分を巡らせて、体の体液のバランスを整え、症状の改善を行ってくれます。

また加えて、軽い動悸やのぼせ、めまいや立ちくらみなどの症状が気になれば「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」という処方もおすすめです。




2.『胃苓湯(いれいとう)』


普段からあまり水分をとらない人で、胃腸が弱い人、また逆に、冷たい水分ばかりをとって胃がもたれて下痢や軟便ぎみの人は、体に必要な水分が吸収されにくく、余分な水がたまりやすいので、熱中症にかかりやすく、その前ぶれとして吐き気やめまいを起こしがちです。

このようなタイプの人には、消化管の蠕動運動を促し消化吸収を高め、水滞を取り除き血中に水分を取り込んでくれる、平胃散(へいいさん)に五苓散をプラスした胃苓湯という漢方薬が適しているものと思われます。




3.『白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)』


白虎加人参湯は、体が熱く汗が出て、熱がこもったようなほてり感があり、のどや口の渇きが顕著にみられる症状の際に使用され、一般的には、やや体力がある人に処方されます。

体にこもった熱を冷まして口渇を潤し、体液を保持しながら気力の回復を促します。
さらには、暑さで末梢血管が拡張したことによって、脳の血流が減少して起こる、一過性の立ちくらみにも効果的です。

またもし、使用により熱感や口渇は治まっても、体力が低下した状態のままで汗が続くようであれば、「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」などに処方を切り替えてみるとよいでしょう。

このようなタイプの人には、消化管の蠕動運動を促し消化吸収を高め、水滞を取り除き血中に水分を取り込んでくれる、平胃散(へいいさん)に五苓散をプラスした胃苓湯という漢方薬が適しているものと思われます。





4.『竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)』


こちらの竹葉石膏湯は、比較的体力がない方から使えて、先に述べた白虎加人参湯と同様、身体にこもり過ぎた熱を下げて、不足した潤いをしっかりと補ってくれます。

白虎加人参湯が、体のやや深いところまで達した熱を冷ませるのに対し、竹葉石膏湯は軽い息苦しさや咳を伴うような、潤い不足が目立つ傾向のある方に効果を発揮します。

最近では、7才から高齢者まで飲めるゼリータイプも発売されていて、手軽に購入できます。




5.『生脈散(しょうみゃくさん)』


生脈散は、たくさん汗をかいたことで、ナトリウム等の電解質が排出して起こる脱水症状を、配合生薬の「五味子」の収れん作用で防ぎ、同じく配合生薬の「麦門冬」で体に潤いを与え、「人参」で消耗した気力を立て直してくれます。

暑さで脈が弱くなった高齢者などにも効果的で、血液の粘りを防ぎ心臓を守ってくれます。

それから、漢方には〝酸甘化陰(さんかんかいん)″という言葉があって、これは酸味に甘味を合わせると、潤い(陰)ができるという意味で、五味子(酸味)に麦門冬(甘味)と人参(甘味)を足すことで、さらに体に潤いを生じてくれます。




6.『芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)』


人は年齢とともに、体温調節の機能も鈍くなりがちです。
例えば、夜中の就寝時に、エアコンのタイマーが切れたりして、だんだんと体温が上がって、気がつかないうちに脱水症状が進行したりすると、体液や電解質のバランスに異常が生じ、突然、熱中症にもよく見られる、こむら返りや足のつりなどを起こしてしまいます。

芍薬甘草湯は、言わずと知れた人気の漢方薬ですが、長期間の常用には不向きです。
ゆえに時々頓服的に、夜中の足のつりの予防に、寝る前1包などの飲み方がよいでしょう。
因みに、こちらも「芍薬」と「甘草」の酸甘化陰で、体に潤いを生む代表的な処方です。




以上、(ここでは各処方の中の生薬一つ一つが果たす役割の説明については、長くなるので割愛させて頂き)、熱中症の初期段階で起こる症状に合わせて、代表的な処方とその簡単な特徴について、いくつか述べさせて頂きました。

まだまだこのほかにも、熱中症に関する、漢方の現場で使われている有名な処方はたくさんありますので、気になる方は、ぜひ一度、漢方に詳しい薬局に、〝それぞれの体質に応じた熱中症の予防と対策″について尋ねてみて下さいね。




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気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム  漢方カウンセリング (担当) 梅川



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