コラムCOLUMN
普段はそこまで気にしていないのに、寒い時期になってくると、決まってトイレが近いなと感じてしまうことはありませんか。
データによって多少の違いはありますが、1日の平均的な排尿の回数は、朝起きてから寝るまでに5~7回程度、加えて、就寝後の夜中に0~1回くらいだそうです。
尿がつくられ排泄されるまでの過程
尿は、腎臓が血液の〝濾(ろ)過″を行う過程で、体に不要なものと判断され、老廃物として残った水分です。濾過されたうちの約99%が再吸収され、残りの約1%が尿となります。腎臓でつくられた尿は、尿管を通って膀胱に集められ、たまっていきます。
その時、尿をためるための膀胱の筋肉は、ゆったり緩んで広がっていますが、その開け閉めを担う「尿道括約筋」などの骨盤底筋群は、無意識のうちにギュッと閉まっていて、漏らさずにためておくことができるようになっています。そして、膀胱が尿でいっぱいになると、この情報が脳に伝達されて「尿意」が生まれます。この尿意を受けて、おしっこをしようとトイレに行くと、今度は膀胱の筋肉がギュッと収縮して、尿道は緩んで開き、たまった尿が排出されます。
ただ通常は、尿意が起きたとしても、すぐにトイレに行ける状況にあるとは限らないので、尿道のほうは、脳からの指令でいつでも意識的に閉じておくことが可能となっており、尿がたまってもギリギリまで我慢することができます。
頻尿の考え方と原因となる疾患
排尿が1日に8回以上や、夜中に起きて2回以上など、昼間や夜間におしっこの回数が多くなることで、一般的に「頻尿」という症状が疑われるようになります。ただ人によって体質や環境なども違うため、普段からのトイレに行く回数はまちまちです。1日に8回以下の排尿回数でも、自身が近くなったなと感じていれば頻尿ともいえますし、1日のあいだに何度もトイレに行くからといって、全てが異常というわけではありません。
さらに、若いうちには夜中にトイレに起きることは殆どありませんが、50才以上になるとほぼ2人に1人が、就寝後に1回以上は目覚めてトイレに行くというデータも出ています。頻尿の原因には、尿が十分に溜っていないにもかかわらず排尿をしたくなる「過活動膀胱」、膀胱の知覚神経を刺激する「膀胱炎」や「尿道炎」、膀胱を圧迫してしまう「前立腺肥大」や「子宮筋腫」等のほか、心因性や神経系の異常など、様々な疾患の可能性が考えられます。
また、頻尿と夜間頻尿とでは、少し異なった捉え方により、その原因と治療が考察されます。
冷えによって起こる頻尿とその理由
頻尿による病院での受診や様々な検査などで、病気や器質的異常が何も見つからなかった場合、この寒い時期に起こる頻尿の原因は、その大半が「冷え」によるものと思われます。冷えによって起こる頻尿には、大きく分けて2つの理由があります。
1つは、寒さで汗をかきにくくなっていることがあげられます。汗には体内の余分な水分を排出する働きがあるため、特に寒さで発汗の機会が少なくなる冬などには、その分、尿の量が増えてトイレが近くなってきます。
もう1つは、寒さによる刺激が、膀胱の筋肉を収縮させて、尿を抱える容量を小さくしてしまったり、尿意を起こす神経を亢進してしまうことで、頻尿が起こります。
日頃からの冷え対策としては、冷たいものや水分の取り過ぎに気をつけながら、食事はできるだけ温かいものをとるようにして、軽めのウォーキングのような適度に汗をかく運動を行ったり、ゆっくり湯船につかる時間をつくったり、外出する際には常に暖かい服装を選ぶ、などといった行動に努めるとよいでしょう。
腎の弱りからくる頻尿
冷えからくる頻尿という症状に関して、東洋医学および漢方では、「腎」という臓腑の概念に着目して、その原因の考察を行っていきます。
この「腎」の概念は、単に腎臓という臓器のことだけではなく泌尿器や生殖器系、あるいは、成長や発育にかかわる内分泌系などの機能も含めた、総称の概念を意味しています。
頻尿の症状が起こるのは、尿の製造や排泄にかかわる、腎臓や膀胱や尿道などの泌尿器系の「腎系統」が、冷えや疲労などで弱り、機能を失調したことによるものと漢方では捉えます。
〝腎の弱りからくる頻尿″を、さらに東洋医学的な視点でみていくと、主に、以下のようなことがその原因になると考えて、対策としての治療を行っていきます。
◎『加齢や慢性疾患などで、腎の体を温めるエネルギーや機能自体が低下して起こる』
手足などを中心に下半身が冷えやすくなり、特に、夜間に頻尿があらわれやすくなります。
漢方では「腎陽虚」という言葉で捉え、腎の働きをよくして、体を温める処方を使います。
◎『過労や不摂生、または老化や病気等で、腎の栄養・滋潤物質が減り、尿が保持できない』
体を潤す物質も不足してくることで、乾燥や手足のほてり、口渇なども生じてきます。
「腎陰虚」という考えで捉え、腎の栄養物質を補い滋潤して、その機能の改善を図ります。
◎『寒い環境に長くいたり、冷たいものの取り過ぎなどで、冷えが体内に滞り、膀胱が収縮』
体の中に侵入した冷えが下降して凝り固まり、腎や膀胱の機能を乱し、頻尿が起こります。
「寒凝」という症状で捉え、体を温め寒邪を取り除き、血流や水分代謝の改善を行います。
◎『脂っこいものや刺激物の過剰摂取、または、尿路からの菌の侵入で膀胱に炎症が起こる』
滞った熱で腎系統や膀胱の機能が乱れ、頻尿とともに排尿痛や尿の濁りもみられます。
「湿熱」が原因と考え、体の中のこもった熱や余分な水分を追い出す処方で治療をします。
冬の時期の寒さは、さらに〝腎の弱りからくる頻尿″を悪化させる引き金となります。お腹やお尻の一部など下半身のどこかに、触ると常に冷たい部分があったり、毎年、暖かくなってきても、なかなか冷え症が治らない人は、すでに腎が弱っている可能性があります。何かと思い当たるところがある方は、これからさらに厳しくなる寒さ対策を十分にとって、上手に漢方薬なども取り入れながら、腎をいたわる行動を心掛けてくださいね。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川
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