コラムCOLUMN
前回は腸がいかに私たちにとって重要な臓器なのかお伝えしました。(前回コラム「Let’s美腸活1.」)
今回は腸内環境が体に与える影響と改善法についてお伝えします。
大腸がんや肝臓がんを引き起こす悪玉菌
肝臓がんになるケースとして、脂肪肝から肝硬変を経て進行することがわかってきています。脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態のことで、アルコールの過剰摂取が主な原因ですが、アルコール以外の原因もあります。それが悪玉菌です。腸内で悪玉菌が増殖し、LPSという毒素を生み出すと、このLPSが血流にのって肝臓に到達することで非アルコール性脂肪肝炎を引き起こします。この非アルコール性脂肪肝炎を患った人の5~20%が、肝硬変へ進み、やがて肝臓がんの発症へとつながっていくのです。
アリアケ菌という悪玉菌が増殖すると、消化液の胆汁から二次胆汁酸という発がん物質を作り出し、これが肝臓に流れ込むと肝臓がんの原因になります。
また、フソバクテリウム・ヌクレアタムという悪玉菌は大腸がんの患者に多く見られることから大腸がんの原因菌の可能性があるのです。
デブ菌「ファーミキューテス」
デブ菌「ファーミキューテス」が注目されるようになったのは2006年、ワシントン大学の研究チームがイギリスの科学し「Nature」に発表した、マウスの実験によります。おデブマウスとスマートなマウスの腸内細菌を比較したところ、おデブマウスには、「ファーミキューテス」類が多く「バクテロイデス」類が少ないことがわかりました。そこで、無菌状態のマウスに、一方はおデブマウスの腸内細菌を、もう一方にはスマートなマウスの腸内細菌を与え、同じエサで飼育したところ、おデブマウス菌グループは体脂肪が47%も増加し、スマートなマウス菌グループは27%の増加にとどまったとのことです。デブ菌「ファーミキューテス」の特徴は、栄養を過剰に吸収してしまう、通常は吸収できない難消化性の食物すら分解吸収してしまうのです。「水を飲んでも太る」ような人は、まさにデブ菌の仕業?!ちなみに「ファーミュキューテス」も「バクテロイデス」も日和見菌に属します。
美肌のもとは腸内細菌
腸内で吸収した栄養素は血管を通して前進の細胞へと運ばれ、新しい細胞を作る材料になります。腸の状態がよくなかったり、しっかり働いていなかったりすると、栄養が全身にいきわたらず、肌の生まれ変わりに影響し、老化の原因に!!
腸内細菌が善玉菌優勢だと、腸内は酸性に保たれ、アルカリ性を好む悪玉菌の増殖が抑えられます。バランスが崩れて悪玉菌が増えると様々な不調を引き起こします。その一つが便秘です。老廃物が長く腸の中にとどまることで腸内にアンモニア、フェノール、硫化水素などの腐敗物質が産生されます。これが腸管内で吸収され血管を経由して体全身をめぐることで、肌に到達し、ニキビやふきでもの、そのほか様々な肌トラブルにつながっていくのです。
また、女性ホルモン「エストロゲン」の減少も肌に影響します。エストロゲンは、コラーゲン生成を促し、肌に潤いを与えますが、これが不足した場合、腸内細菌が大豆イソフラボンから「エクオール」というエストエロゲンの代わりの機能を果たす物質を作ります。ところが、日本人の約43%は「エクオール」を作ってくれる菌を充分に持っていません。すなわち、エストロゲンの減少とともに肌の老化が進む人が二人に一人いるのです!!
便の状態チェック
それでは理想の便とはどんなものなのでしょうか。バナナのような形をし、やや黄色っぽい茶色の便で、量はバナナ2本分が理想的な便の状態です。便が黄色いのは消化液の一つである胆汁酸の色のせいです。腸内での通過時間が長くなると、どんどん水分が吸収されてしまって胆汁酸が濃くなってしまうため、便秘の時の便の色が黒くなるのです。逆に滞在時間が短いと水分吸収の時間が少なくなり、黄色が薄まった軟便や下痢のような状態になります。このように腸内での滞在時間で便の状態が変化しますが、ほかにも便の色でからだの健康状態を推測することができます。便が黒いと胃や、十二指腸で出血している可能性があります。また、赤い血が便に混ざりこんだ状態だと大腸での出血が疑われ、表面だけに血がついている場合は痔ののことがあります。
また便の色のもとになる胆汁酸が出ていないと便が白くなります。胆汁酸が出にくい原因は、胆汁の出口がふさがれた状態なので、肝臓や、膵臓、胆管にがんができている可能性があります。毎日、自分の便をチェックすることで腸内環境だけでなく、消化器官全体の健康状態を確認することもできるので、すっきり出した後は水を流す前に必ず便器の中を覗いてみてください。
美腸活のために
このように腸内環境の乱れで、体、心に様々な悪い影響が出ます。腸内環境を良い状態に保つことがとても大切なのです。そのためにお勧めすることが9つあります。
1. 質の良い睡眠をとる。
食事をとってからしばらくするとお腹がキュルキュルキュル~ってなることがありますよね。これってお腹がすいた!いう合図で鳴っているわけではなく、腸のお掃除タイムMMC(伝播性消化管収縮運動)なんです。MMCとは腸管が大きく収縮し、殺菌性のある胃酸や胆汁などの消化液の分泌を増やすことで腸内の悪玉菌増加を防ぐ運動です。腸内のお掃除タイムMMCは食事の4時間後で、主に睡眠中に行われます。浅い睡眠だと自律神経が乱れて、腸の動きが悪くなり、MMCが充分行われなくなってしまいます。MMCをしっかり行うために質の良い睡眠をとることが大切です。
質の良い睡眠とは、以下の3つが満たされている睡眠です。
・途中で目覚めることなく朝まで安眠できる。
・目覚めが良く、起きてすぐに動ける。
・日中に眠気がでない。
質の良い睡眠をとるためには
・寝る4時間前に食事を済ませる。
・寝つきを良くするために、就寝前に思い悩まない、自分を褒める。
・毎日同じ時間帯に寝る。
・朝日を浴びて眠りを誘発する物質「メラトニン」を生成するリズムを作る。
・メラトニンの分泌を高めるシジミなどに含まれるオルニチンを摂る。
・メラトニンのもとになるトリプトファンを含むバナナや牛乳、レタスなどを摂る。
等を、習慣づけるのがおすすめです。
2. ストレスを溜めない
ストレスが高くなると自律神経が乱れてしまいます。MMCがしっかり行われなくなってしまいますし、ストレスのせいで腸も疲れてしまいます。
おすすめは自然界の動きを感じることでのストレス解消です。風のそよぎ、日光、木々や花の香りを感じることで、リラックスすることができます。テレワークなどで長い時間室内にこもりがちですが、1日に1回は外に出て、緑を感じる公園へ散歩しましょう。
また、入浴も腸を温め働きを活発にする効果もあって一石二鳥です。38度のぬるま湯に15分ほど半身浴するのが効果的です。副交感神経が優位になって、腸の血行が良くなり、便通も快調になります。副交感神経を優位にする手段として、よく笑って幸せホルモンを出すことも大切です。
ストレス緩和と良い睡眠のためには、副交感神経を優位にすることが大切です。ストレスを感じると交感神経が優位になり体が覚醒してしまいます。私たちの細胞に必要な成分であるALA(5―アミノレブリン酸)、プラズマローゲンを摂取するのはそのためにお勧めです。
3. 腸内細菌のバリエーションを増やす
腸内細菌の種類が多いほど、腸の粘膜のバリア機能が高まり、免疫力もアップします。そのためには1日に取る食品の種類を増やしたり、以下のような善玉菌が育ちやすく、腸の強い味方となる食品を摂るとよいです。
・発酵食品
善玉菌を刺激して腸の蠕動運動を活性化します。また、腸内を弱酸性にして悪玉菌が増えるのを防ぎます。
ヨーグルト、みそ、納豆、しょうゆ、酢、ぬか漬け、キムチ、チーズ、甘酒、ワインなどが発酵食品に相当します。ヨーグルトにはビフィズス菌、乳酸菌、みそには麹菌、酵母菌、乳酸菌。特に納豆には熱や胃酸に強い納豆菌が含まれ、腸まで生きて届きます。納豆菌は善玉菌を増やすだけでなく、消化を助ける働きもあります。しかしながら納豆が苦手で食べられない方もいますよね。そんな方には納豆菌だけでなくビフィズス菌、乳酸菌も配合されているザ・ガード整腸錠α+がおすすめです。
・水溶性食物繊維
加齢とともに乱れがちな腸内環境のバランスを整え、水分を引き込んで便を柔らかくしてくれます。ぬめり成分に食物繊維が多く含まれる海藻、食物繊維だけでなく善玉菌のエサのオリゴ糖も含まれているゴボウ、強い抗菌作用で悪玉菌を減らし、加熱しても壊れにくいスルフォラファンを含むブロッコリーなどがたっぷり含んでいます。
・オリゴ糖
ビフィズス菌などの乳酸菌のエサとなって善玉菌を増やしてくれます。
オリゴ糖だけでなく水溶性食物繊維もたっぷり含むバナナ、がん細胞増殖を抑えるポリフェノールも含む玉ねぎ、酵素が消化を助ける蜂蜜がおすすめです。
・EPA,DHA
腸の中の炎症を沈め、善玉菌が増えやすい腸内環境に整えてくれます。潤滑油として便の通りを良くする効果もあり、また、がん細胞の増殖を抑えることも報告されています。DHA、EPAは体内で産生できません。青魚や鮭、アマニ油に多く含まれます。また、先ほどご紹介したプラズマローゲンにも多く含まれています。
ストレスを溜めない、良い睡眠をとる、善玉菌が喜ぶ食生活をご紹介しました。
次回は、さらに美腸活を極めるためのご提案をします。
前回コラム「Let’s美腸活3.」
大賀薬局推奨品
エクオール:エストロゲンが減少してくる更年期の女性をサポート。
調剤薬局店舗で販売しております。
プラズマローゲン:認知機能の一部を維持、ストレス緩和と良い睡眠のために
ドラッグストア店舗で販売しております
次回は、腸内環境が体に与える影響と改善法についてお伝えします。
コラム「Let’s美腸活3.」
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