コラムCOLUMN
毎年、会社の定期的な健康診断で、レントゲンや心電図などその日に内容が分かる検査では、何も異常が見つからなかったものの、後日、送られてきた血液検査の結果に、肩を落として、不安を感じずにいられない方も多いのではないでしょうか。
本来、血液は、滞ることなく全身を巡って、その隅々にまで酸素と栄養分を届け、代謝物と老廃物を回収しながら、私たちの健康を支えてくれています。しかしながら血液は、何らかの原因によって、その流れによどみが生じて、粘度が上がってドロドロと滞りやすくなることにより、体の様々なところに異常をきたしてしまいます。
血液の巡りを悪くしてしまう原因
こうした血液に、粘りや滞りを起こしてしまう主な原因には、以下のようなことがあります。
1.『偏った食事や食べ過ぎ』
脂っこいものや甘いもの、高カロリーなもの等の偏った食事、また、それらの食べ過ぎは、血液中に中性脂肪や悪玉コレステロール等を増加させ、その流れによどみを起こします。不摂生な食生活は、血液検査のあらゆる数値に悪影響を及ぼす、最も大きな要因の1つで、基準値内への改善に向けて〝食事療法″が取り入れられているのはそのためです。
食事はお米・パン・麺類などの炭水化物や、肉類などに偏らず、野菜が不足しないように、バランスよく腹八分の意識で。そして、お菓子やアルコールなどの嗜好物は、ほどほどに。
2.『日頃からの運動不足』
普段から、ちょっとした軽めの運動の習慣がない人、少し汗をかく程度に体を動かすことも億劫な人は、血液の流れが悪くなり、滞りがちになります。また、日頃の運動不足によって筋肉の量が減少してしまうことで、基礎代謝力も低下して脂肪もつきやすくなり、血液の循環も悪くなってしまいます。
ハードな運動は、肺や心臓に負担をかけて、血管も傷めることになってしまうので、軽めのウォーキングやストレッチなどの有酸素運動を心掛けて行うとよいでしょう。
3.『過剰なストレス』
精神的なストレスは、自律神経に影響を及ぼします。そのため、血管は収縮して血圧も高くなり、血液の流れも悪化して、滞りや詰まりを起こす原因となります。長い間ストレスを抱え込んだり、過剰なストレスを受けないように、適度な発散の場も含め、できるだけ素早い環境の改善や、考え方の改善などにも努めて行動してみましょう。
その他にも、「冷えや寒さ」による血管の収縮や、「打撲」による内出血などで、不要な血がとどまった状態も、血液の巡りを悪くしてしまう原因となります。
血管の老化にともなう動脈硬化
それから「人間は血管とともに老いる」という言葉があるように、人は伸縮性や弾力性のある、丈夫でしなやかな血管が維持できなくなるにつれ、老化が進んでいくと言われています。年を重ねるごとに、だんだんと体が硬くなってきたなと感じるように、血管も加齢とともに次第に硬くなっていく傾向にあります。その上に、不摂生な食事などの生活習慣が加わることにより、血管内の壁も徐々に硬く分厚くなっていき、血液の通り道も狭くなって、血管は「動脈硬化」を起こしてしまいます。
「動脈硬化」が進行すると、狭くなった血管の中に血栓ができ、詰まったり破れたりして、発生する部分によっては「心筋梗塞」や「脳梗塞」を引き起こして、何の前触れもなく訪れる「突然死」の原因にもなりかねません。様々な病気の引き金となる動脈硬化は、これといった自覚症状もないまま、知らず知らずのうちに徐々に進行していきます。
そうならないためにも〝血流を悪くしたり血管の老化を加速する原因″をきちんと知って、バランスの良い食事や適度な運動など、規則正しい生活を心掛けることが大切です。日々の生活習慣の中での、意識や行動次第で、動脈硬化の進行を予防して、しなやかな血管を保ち、少しずつでも血液検査の数値の改善を図っていくことは、十分に可能なんです。
漢方の〝瘀血″という概念
上記で述べてきたような、ドロドロによどんで粘っこく、流れにくくなってしまった血液を、漢方では「瘀血」という概念で捉えていきます。血管の老化の進行や動脈硬化も、この「瘀血」が主な原因と考えます。
私たちは、この瘀血の考え方を通して、血液の状態や動脈硬化の進行具合など、いま現在の体の中の状態を、様々な角度から推測することができます。〝瘀血の症状″には、大きく分けて、「痛み」「しこり」「黒ずみ」といった、体にあらわれやすい特徴的な3つのサインがあります。
瘀血の際の「痛み」の特徴としては、固定された同じ場所に、刺すような痛みがじわじわと続く感じがあり、やや、夜間に痛みがひどくなる傾向にあります。瘀血は慢性的な頭痛や肩の痛み、心臓の痛み、腹痛や生理痛、打撲の痛み、手足のしびれや神経痛全般など、体のいたるところに痛みを起こします。
「しこり」は、血液が粘っこくなって、流れが滞ってきたり、うっ血を起こしたところが、盛り上がったり腫れたりした状態のことです。肩こりや打撲等による傷、子宮筋腫、乳腺炎、良性の腫瘍、ポリープ、ガン、静脈瘤などとなってあらわれることがあります。
「黒ずみ」は、体の中の血液の流れが悪くなって、運ばれてくる酸素が不足してくることで起こりやすくなります。血液の色が黒ずむと、お肌もくすんで透明感がなくなり、皮膚全体も黒ずんで見えてきます。瘀血の進行により出現したシミやそばかす、目のまわりのクマ、ちょっとした打撲でできた青あざもこれに該当します。
これ以外にも、のぼせやイライラのような精神的なもの、舌下静脈の怒張や舌の色といった形でも、瘀血の症状はあらわれてきます。
瘀血の予防・改善で、元気な血液と血管を
瘀血の症状を含め、〝未病状態″での予防や改善は、漢方治療における得意分野の一つです。ここでは詳しい処方や内容についての説明は割愛させて頂きますが、漢方では、丹参、紅花、田七人参、桃仁、牡丹皮、芍薬、当帰、川芎、莪朮などの生薬を組み合わせた処方を用いて、〝活血化瘀法″等の考え方をもとに、瘀血の改善をおこなっていきます。
今まで話してきた中で、色々と思い当たる瘀血の症状や、また、何となくでもそのサインを感じている方がいらっしゃれば、早速、少しずつでも生活習慣の改善や、漢方薬の活用などに取り組んで、血液の巡りを良くして血管の老化を防ぐことをおすすめします。
よどみのない血液、しなやかな血管の維持は、全ての病気の予防に繫がるものと思われます。
★カウンセリングについて★
気になる症状の改善や緩和に適した、漢方薬や健康食品を、きちんとセレクトするために、カウンセリングにはしっかりと時間をかけて対応させて頂きます。さらに症状の根本的な原因となる部分を認識するために、陰陽五行体質判定システム(税込1,000円)の活用による漢方カウンセリングも、ご希望に応じて行っております。
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(株) 大賀薬局ライフストリーム 漢方カウンセリング (担当) 梅川
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