コラムCOLUMN
PC、スマホ、ストレス等に一日中さらされる生活スタイルが定着して、頭痛を抱える方が増えてきました。皆さん、何気なく購入されるお薬、本当に自分の症状にあっているのでしょうか。
今回は、市販の頭痛薬に入っている成分について考えてみたいと思います。
痛みを感じるところ
「痛い」と認識するところは体のどの部分であっても大脳皮質です。この部分の痛みの中枢を鈍麻させれば痛みを緩和することができます。この部分に効くのはがんなどの痛み止めとして使うモルヒネを代表とするオピオイド系鎮痛剤です。これは市販のお薬には配合されていません。
痛みの中枢を抑え込めないのであれば痛みの主な経路である視床という脳の奥にある部位で遮断することです。市販のお薬のほとんどがここで作用してくれます。
さらに炎症による痛みであればその部分で遊離されるブラジキニンなどの伝達物質による痛みを抑える作用のあるお薬を使います。解熱鎮痛薬の多くはこの作用を持っています。
市販の解熱鎮痛薬の種類
市販のお薬の解熱鎮痛薬は大きく分けて3種類です。
☆ピリン系
イソプロピルアンチピリン
強い解熱作用があります。
市販薬ではセデスハイに含まれています。
ピリン系アレルギーが有名で、薬疹というお薬が原因でできる蕁麻疹が副作用で出る方がいます。激しい副作用が出るとアナフィラキシーという蕁麻疹だけでなく、喉の奥が腫れて呼吸ができなくなる、立ち眩みや意識消失といった命にかかわる症状が出ることもあります。初めて服用して気分が悪くなったらすぐに病院で診てもらいましょう。
☆非ピリン系
アセトアミノフェン
タイレノール、ラックルにはアセトアミノフェンのみ、セデス、エキセドリンAや様々な風邪薬に配合されています。
解熱鎮痛作用はありますが抗炎症作用がありません。
過敏症や相互作用も比較的少ないため、乳幼児にも使いやすいようです。抗炎症作用がない=末梢でのプロスタグランジン合成阻害作用がないため胃腸障害がNSAIDsと違って出にくいのが特徴です。
☆NSAIDs=非ステロイド性抗炎症薬
ステロイド以外の薬で、抗炎症作用のある薬です。
解熱鎮痛、抗炎症作用があります。すなわち末梢でのプロスタグランジン合成阻害作用があるため胃腸障害の副作用が出やすいです。プロスタグランジンという成分は組織に炎症を起こす原因物質ですが、胃腸粘膜を保護する働きもあるのでこれの合成が阻害されることで胃の粘膜が荒れるのです。
市販の内服薬のNSAIDSは2種類に分けられます。
1. サリチル酸系
アスピリン、サリチルアミド
アスピリンはバイエルアスピリン、バファリンAなどに、サリチルアミドはパイロンPLなどに含まれます。
アスピリンはピリン系のお薬ではありません。
2. プロピオン系
イブプロフェン、ロキソプロフェン
イブプロフェンは、イブAや様々な風邪薬に、ロキソプロフェンやロキソニンシリーズに含まれます。
サリチル酸系の薬は胃腸障害の副作用が多く、その副作用を抑え、作用をより強力にするために開発されたのがプロピオン系です。よって、サリチル酸系に比べてイブプロフェンは非常に強い抗炎症作用と解熱鎮痛作用があります。ロキソプロフェンは特に鎮痛作用が強力で、胃腸での吸収前は非活性型で吸収後に活性型となるプロドラッグと呼ばれる薬の為、胃腸障害がほかのNSAIDsに比べて少ないのが特徴です。
NSAIDsに属するお薬の副作用としては「アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)」が出現します。
NSAIDsは末梢のプロスタグランジン合成を抑制することで抗炎症作用がありますが、抑制されてしまうプロスタグランジンのうちプロスタグランジンE2が減少すると喘息発作に関与する細胞が活性化してしまい、気管支の収縮が引き起こされるため、喘息発作が起きるのです。
服用して1時間以内に、鼻水、鼻詰まり、息苦しさ、咳などの症状があらわれたときはアスピリン喘息の可能性があるのですぐに病院に相談しましょう。
鎮痛作用を助ける成分
ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素
ブロモバレリル尿素はナロンエースに、アリルイソプロピルアセチル尿素はイブクイック、ロキソニンプレミアム等に含まれます。両方とも脳の興奮を抑え痛覚を鈍らせることで鎮痛効果を高めます。但し、催眠作用もあるので服用には注意が必要です。また依存症にもなるので配合されているお薬の長期服用は避けるべきです。
そもそも頭痛が起きるのは・・・
頭痛には様々な原因が考えられますが、PCやスマホを使い続けることで同じ姿勢が続いたり、精神的あるいは環境によるストレスが原因の頭痛は血行不良による脳の酸素不足が原因と考えられます。また、鎮痛剤の使い過ぎで血管収縮からいきなり拡張することで周りの神経を圧迫している可能性があります。
このように首、肩、脳内の血流の滞りが原因で起こることが多い頭痛は、鎮痛剤に頼りすぎず、血流改善を心がけるのも大切です。筋肉をほぐす体操をする、血流を改善する紅ジンや熟成ニンニクエキスを摂ることで、鎮痛剤の乱用を防ぎましょう。
コメント
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nobeo
薬を作っているメーカーのページには載ってない情報が知識のない人間にも分かりやすく書いてあって助かりました。
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大賀薬局 本部
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り画像の位置が間違っておりましたので修正いたしました。
ご指摘ありがとうございました。 -
柚子
とてもわかりやすく説明してくださり、ありがとうございます。
商品例の画像もあり、お店で探しやすくて助かります。
アセトアミノフェンのみ、
アセトアミノフェン+α、の画像は、本文と合ってないような気がしますが…どうでしょうか -
さかえ
新セデス錠とラックル速溶錠のポジションが逆の様に思います
書き手
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