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2021.2.12新型コロナウイルスワクチンについて

五條 元量

大賀薬局 太宰府病院前店 薬剤師 五條 元量

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新型コロナウイルスワクチンについて

たくさんの方の関心が高まっている、新型コロナウイルスワクチンの動向。今回はワクチンについての情報をまとめました。

まずワクチンとは
人の体には、一度入ってきた病原体が再び体の中に入ってきても病気にならないようにするしくみ=免疫があります。侵入してきた病原体を覚え、体の中で病原体と戦う準備を行います。そうすることで、再度、病原体が体の中に入っても病気にかからない、もしくは病気にかかっても重症化しないようにできているのです。
この仕組みを利用したのがワクチンです。






ワクチンを接種することで、私たちの体は病原体に対する免疫を作り出します。



ワクチンを何故打つのか?
簡単に言うと、自分を守る+みんな(社会)を守るため です
ワクチン接種により期待出来る効果は
1.感染予防2.発症予防3.重症化予防4.集団免疫効果が期待されています。
1〜3は個人における予防効果になりますが、4の集団免疫は多くの人が予防接種を受けることで免疫を獲得していると、集団の中に感染患者が出ても流行を阻止することができる「集団免疫効果」が期待されます。
これにより、ワクチンを接種することができない人を感染から守ることにもなります。

ワクチンの種類について
現在、世界各国で新型コロナウイルスワクチンの開発が進められています。
ワクチンにも様々な種類があり、以下のようなものがあります。
・ウイルスベクターワクチン
・DNA ワクチン
・mRNAワクチン
・組み換えタンパクワクチン
・不活化ワクチン
・生ワクチン
・その他
それぞれを詳しく説明しませんが、今後日本でワクチン接種が予定されているものについて説明します。
日本においては令和2年12月にアメリカの製薬会社ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが承認されました。ファイザー社のワクチンは「mRNAワクチン」になります。
特徴として、mRNAワクチンは、ウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質を作るための遺伝情報を伝達する物質、「mRNA」を使います。人工的に作って注射で投与することで、「擬似的な」ウイルス感染を体内で生じさせます。その結果、免疫の働きによって抗体が作られます。
mRNAワクチンは新型コロナウイルスの感染が広大する前には実用化されていない新たな技術でしたが、開発にかかる期間が従来のワクチンより大幅に短縮できるのが大きな特徴となっています。さらに、変異ウイルスが出た場合も塩基配列を変えるだけなので、迅速な対応が可能となります。






副作用、副反応について



皆さんが予防接種を受けるか検討する際に一番気にされる項目が副反応だと思います。通常であれば製品化までに十年以上かけて様々な段階を踏み、情報を収集した上で行われるワクチン開発が、この度コロナ禍の中で超特急に製品化されているため、余計に不安に思われる方も少なく無いでしょう。
以下に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会から出されている副反応の内容を抜粋して記述します。






軽度だが頻度が高い副反応の例


• 接種部位の局所反応
症状:発赤・腫脹(通常、3-4日で消失)硬結(1か月続く場合もある)
治療:治療の必要ない場合がほとんど。局所の冷却などで改善する。
頻度:3.7%(麻しん風しん1期)9.1%(インフルエンザ)

• 全身性の反応
症状:発熱、全身倦怠感、頭痛
治療:通常、48時間以内に自然軽快。アセトアミノフェンなどの投与を行う。
頻度:18.0%(麻しん風しん1期・発熱)1.5% (インフルエンザ・全身倦怠感)
重度だが頻度が低い副反応の例

• アナフィラキシー(アレルギーの一種)
症状:蕁麻疹、唇・手足の痺れ、まぶたの腫れ、息苦しさなど
治療: 重度の場合はアドレナリン・抗ヒスタミン薬・ステロイドなどの投与を行う。
頻度:0.00004%(インフルエンザ)

• ギランバレー症候群
症状:両足の力が入らなくなったり(筋力低下)、両足がしびれたり(異常感覚)する。
治療:免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法などを行う。
頻度:0.0001%(インフルエンザ)

こうした副反応が生じえるが、接種によるベネフィットが上回ると考えられることから、予防接種が実施されている。
予防接種は、体内に異物を投与し免疫反応を誘導するため、何らかの事象が生じる可能性があり、100%の安全性を求めることはできない。 有効性が副反応のリスクを上回る場合、接種が許容されるが、丁寧な情報発信・説明の上で、被接種者の同意がある場合に接種することとなる。 有効性は多くの人が享受する一方で、重度の副反応は一部の人に生じるものであることから、このようなリスクを分かち合う意味からも、健康被害救済制度の整備が重要である。
と記載されています。






ワクチンはシートベルトのようなもの?



今回ワクチン、予防接種について調べていたところ、複数の医師や専門家の方々がワクチンを考える時、「車のシートベルト」に例えると分かりやすいと話されていたのでここでも使わせていただきます。
シートベルトは使用していても事故は起こる可能性があり、怪我や場合によっては死亡することもあります。しかし、だからと言って「シートベルトには効果がない。」や「効果がないから使用しない。」という考えは正しくなく、万が一の際に大事に至らない、命を落とさないための予防手段になります。大切なのはシートベルトで100%死亡事故を起こさないことではなく、シートベルトをした結果、怪我や死亡する確率がどのくらい減るかということです。






正しい情報判断が必要になります



現在ワクチン接種に向けての協議がなされ、今後も様々な情報が出てきます。偏った内容や不安を煽る情報もあります。それらに流されず正しい知識で判断する必要があります。
国家を挙げての感染対策としての予防接種ですが、各個人それぞれの事情もあるかと思います。不安なまま接種に望むのではなく、正しく理解した上で判断して頂きたいと思います。

薬局ご利用の際、わからない事がありましたら気軽にご相談ください。
少しでも地域の皆様の悩みや不安を解消するお手伝いができれば幸いです!

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コメント

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  • 五條 元量(かかりつけ薬剤師・健康サポート薬局薬剤師)

    ご質問ありがとうございます。
    申し訳ございません。お調べしたのですがギラン・バレー症候群の既往歴がある方のコロナワクチンの接種例についての情報を見つけることができませんでした。
    日本神経学会の見解の第3報を確認し以下のように記載があります。
    『以前ギラン・バレー症候群を患ったことのある患者もCOVID-19ワクチンを接種しても構いません。現在までにmRNAワクチンの臨床試験のワクチン接種後に発症したギラン・バレー症候群の症例は報告されていません。ジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセン・ワクチンの臨床試験のワクチン接種を受けた参加でギラン・バレー症候群が1例報告されましたが、プラセボを受けた群でも1例発症しています。予防接種に関する独立諮問委員会のガイドラインにおいても、ワクチン予防接種の事前注意としてギラン・バレー症候群の既往があ
    ることは含まれていません。現時点ではギラン・バレー症候群のような免疫介在性抹消神経疾患の発症を恐れてCOVID-19ワクチン接種を避ける必要はないと言えます。』とのことです。詳しくはhttps://neurology-jp.org/covid/index.htmlもご確認ください。
    現時点で日本で接種されているモデルナ社製およびファイザー社製のワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症例は報告されていません。
    ギラン・バレー症候群に既往があってもワクチンの接種を推奨するとされていますが、一方で免疫療法などの治療薬や治験薬の投与を受けている場合はワクチン接種の時期は主治医と患者でよく相談することが望ましいとの見解です。ご参考にされて下さい。

  • リンダ

    私もインフルエンザのワクチン接種後に初めてギランバレーを発症しその数年後に2度目の発症もありました。少し後遺症は残りましたが日常生活には支障ない程度に回復しております。
    1度目のインフルエンザの予防接種からワクチンは接種していませんが2度目は嘔吐下痢の感染後に発症しています。今回のコロナワクチンは私も躊躇しています。実際にギランバレーの発症経験がある方のコロナワクチンの接種例はあるのでしょうか?

  • ギランバレー症候群

    回答ありがとうございました。
    いただいた情報を参考にさせていただき、ワクチンの接種を検討いたします。

  • 五條 元量(かかりつけ薬剤師・健康サポート薬局薬剤師)

    ご質問ありがとうございます。ご返事が大変遅くなり申し訳ございません。
    過去にワクチン接種が原因と疑われるギラン・バレー症候群を経験されたとのことで今回のCOVID-19ワクチン接種に関しても大変ご心配されていることだと思います。
    COVID-19ワクチンに関する日本神経学会からの見解を見つけましたので引用させていただきます。
    現時点でのギラン・バレー症候群等の免疫介在性末梢神経疾患の患者におけるCOVID-19ワクチンの安全性、有効性に関するデータはありませんが、これらの患者は免疫調整療法によって免疫力が低下してCOVID-19重症化のリスクが高い可能性があり、COVID-19ワクチンを接種することが推奨されます。ただし、免疫系等に作用して予想できない影響の出る可能性もあり、今後のデータ集積が必要です。
    以前にギラン・バレー症候群を患ったことがある方もCOVID-19ワクチンを接種しても構いません。現在までにmRNAタイプのCOVID-19ワクチン接種後のギラン・バレー症候群の発症は報告がないとのことでした。
    まだまだ安全性、有効性についてのエビデンスは十分ではないため、必ずしもこの見解に従う必要はありません。患者様、ご家族様と話し合ったうえで意思決定されるのがよいかと思われます。そのための判断材料の一つになればと思います。

  • ギランバレー症候群

    過去にギランバレー症候群になったことがあり、主治医からはインフルエンザのワクチンが原因の可能性があると言われていました。
    そのような既往歴がある人は、新型コロナのワクチンによりギランバレー症候群の副反応が出る可能性は他の人よりも高いでしょうか?もしくは確率は変わらないものなのでしょうか?
    ワクチンのメリットは理解しつつも、ギランバレー症候群の経験で躊躇しているおります。

五條 元量

この記事を書いた人



五條 元量(かかりつけ薬剤師・健康サポート薬局薬剤師)



地域の健康の質を高めることをモットーに働き、H30年に健康サポート薬局*の認定を受け、地域の方々の健康の保持増進を積極的に支援する薬局として活動しています。この超高齢社会を、いかに健康を維持し乗り越えていくかの鍵は薬局にあると考えます。しかし未だに薬局=処方箋がないと薬局に入れないという認識を持つ方は少なくありません。是非お薬の事だけでなく、生活や健康に関することなら何でもご相談ください。お待ちしております!
*厚生労働大臣が定める一定基準を満たしている薬局として、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品に関することはもちろん、介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる薬局のこと

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