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2020.10.1季節の変わり目に体調を崩しやすい人

梅川 哲朗

大賀薬局 ライフストリーム 漢方薬 梅川 哲朗

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季節の変わり目に体調を崩しやすい人

10月に入り、日中の暑さもすっかり和らいで、朝晩は少し肌寒くなってきましたね。

さて、1年の季節の中で、「私は寒い冬が苦手です」とか、「どちらかというと暑い夏の方が苦手です」という話を、よく耳にすることがありますが、そうした本人の意識とは異なり、実際に、いちばん体調を崩しやすかったり、持病の症状が強く出たりするのは、案外、季節の変わり目だったりする人が多いようです。





季節の変わり目となる「土用」

「土用」と言えば、夏のスタミナ食として鰻を食べる丑(うし)の日が、すぐに頭に浮かぶ人が多いかと思いますが、土用とはこの時期に限らず「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の約18日間のことを指しており、次の季節に移る前の調整の期間と考えることができます。

因みに2020年の各土用の期間は
・冬土用 1月18日~2月3日 (17日間)
・春土用 4月16日~5月4日 (19日間)
・夏土用 7月19日~8月6日 (19日間)
・秋土用 10月20日~11月6日 (18日間)

となっており、それぞれの四季の前に4回訪れます。

またこの土用は、「土旺用事」という言葉の略で、「土が旺盛になって、なすべき仕事を行う」といった意味を表しており、土の働きや支配が最も盛んになる時期のことを指しています。

昔からこの時期は、農作業や土いじり、工事、増改築などの土に関わることは慎むべきであり、開業、結婚、転職、引っ越し、旅行など新たな事を始めたり新しい所に行くことは控えた方がよいと考えられてきました。そのため土用の間は、次の季節に向けて日々養生して過ごし、家の中での掃除や整理整頓を心掛け、季節に合った模様替えや衣替えなどをしながら過ごすのがよいとされてきました。






東洋医学での「土用」

東洋医学の考えには、春には「肝」、夏には「心」、秋には「肺」、冬には「腎」、そして土用には「脾」(消化器系)といった、それぞれの季節に中心となって働きながらも、その季節に最も影響を受けやすい「臓器」があるという概念が存在しています。

特に土用は、各季節に頑張って働く臓器を助けるために、「脾胃」(胃と消化器系)がしっかりと中心となり機能して、「気血」(エネルギーや栄養物質)を補う時期になります。 その反面、この時期特有の朝晩などの激しい寒暖差で、体温を調節する「自律神経」が影響を受けてバランスを乱し、さらに、その自律神経が支配する脾胃の機能が低下してしまうことで、体調を崩しやすい人が多くなる時期でもあります。








次回の「土用」に備えて

今年、次にやってくる土用の期間は、10月20日~11月6日の秋土用です。

秋土用の時期には、乾燥などの秋に出やすい症状もみられますが、夏のあいだに、かなり無理をした人や、冷たい物をたくさんとって脾胃を冷やし過ぎたり、常に汗をかかないように冷房の効いた涼しい環境にいた人は、冷えを抱えた体の状態が解消できないまま、以下のようなことが起こりやすくなってきます。

・やる気がでない
・考えがまとまらない
・だるくて休みも寝て過ごす
・胃の不調
・女性は不正出血も…


こうした症状は、そのほとんどが「脾胃の弱り」によって起こるものなのですが、その原因をきちんと取り除いて、脾胃の働きをよくしてあげることで、結果的には体全体が元気になることへと繋がってきます。脾胃の調子を整えるためには、不規則な生活による自律神経の乱れに気をつけながら、冷たいものや脂っこいもの、暴飲暴食などを避けることが、まずなによりも大切になりますが、
「六君子湯」や「人参湯」、「半夏瀉心湯」、「小建中湯」、「平胃散」といった漢方薬を、その症状に応じて上手に使い分けて活用してみるのもよいでしょう。


季節の変わり目には、できるだけ規則正しい生活を行い、適度な運動を心掛け、温かい物や消化のよい物をとりながら、脾胃の働きを活発にして、体にしっかりと気血を補って、また次にやってくる季節に備えて行きましょう。





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梅川 哲朗 (登録販売者・九州中医薬研究会会員・国際中医臨床薬膳師)
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