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2020.9.1日本の医療に対して薬剤師目線から出来る事を考える

福田 勇介

薬剤師 福田 勇介

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日本の医療に対して薬剤師目線から出来る事を考える

日本の医療問題は長らく議論され、今も尚続き、新型コロナウイルスの影響も受け医療現場が変化しようとしています。





「国民皆保険制度」の現状

私が薬学生の頃から思うものの一つに「国民皆保険制度」があります。
全ての国民が何かしらの保険に加入するというこの制度は世界においても珍しい制度です。
誰でも・いつでも・どこでも保険を利用して医療を受けることのできるこの国民皆保険制度が今崩壊しかけています。

日本においては先進国でも類を見ない程の超超高齢化が進んでおり、医療を受ける頻度の多い高齢者がとてつもないスピードで増えていることが大きな一因として医療費、医療現場を切迫しています。このまま放っておけば、皆さんの子供や孫のなど未来ある世代では国民皆保険制度が無くなり、たかが風邪で受診して薬を貰うだけで数万円かかることにもなりかねません。






私たち薬剤師がチャレンジしたい3つのこと

では、この問題に対して薬剤師目線からどう考え動くか…。
医薬品を患者に投薬する立場から私が考える薬剤師として動ける事は大きく3つ。

1.ジェネリック医薬品の推進
昔は“安かろう悪かろう”のイメージのあったジェネリック医薬品ですが、最近の物はそんなことはない上に、むしろ先発医薬品よりも飲みやすさや使いやすさを改善している物も数多くあります。これをいかに患者に分かりやすく説得力を持って説明し理解を求めるかが肝となり、ジェネリック医薬品の使用率を上げる事で医療費への貢献に繋がります。

2.ポリファーマシーへの対策
一般的に考えても高齢になるに従って複数の疾患を併発する事で、服用する薬も管理しにくくなる程多く服用している人が大多数です。疾患の数に伴い足し算的に処方された薬の中に必要以上の薬・不要な薬があれば有害事象の原因にもなることもあり、服用アドヒアランスの低下にも寄与してしまいます。この問題に対して、薬剤師だからこそ薬剤師の視点から処方薬と症状等を吟味し、引き算的に処方医に減薬提案をしていくことが医療費削減の小さくも大きな一歩だと思っています。

3.セルフメディケーションのサポート
一言で言わせてもらうと「自分で治せるものは自分で治す」です。鼻水、軽い湿疹、肩こりetc. 緊急で病院にかかるほどの症状でないもの且つ市販薬があるものに関しては自己治療もしくは経過観察してもらえるよう周知徹底することで国民医療費を少しでも下げることになります。そのためにも日頃から相談しやすい信頼や環境づくり、OTCの知識の習得を心がけています。もちろん、場合によっては適切な受診勧告も薬剤師の職務であるので忘れてはいません。

上記3項目は日頃から私が意識して取り組んでいることの一部です。
他にもさまざまな考え方・原因・やり方があるとは思いますが、今自分に何ができるかを医師・薬剤師・患者・その他の職種…各々の視点から日本の抱える医療問題に対して出来る事を一人ひとりが考え動くことが結果として大きな動きや波となると信じています。

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福田 勇介

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福田 勇介(研修認定薬剤師、かかりつけ薬剤師)



地域に根ざした薬局、地域住民から信頼される薬剤師を目指しています。お薬の相談だけでなく、お薬・疾患に関わるサプリメントや食事から日常生活に至るまでの幅広い相談に対応し、少しでも誰かの力になれたらと日々奮闘しています。

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